2026.10.15

Midjourney「Thinking Mode」使用感レビュー

執筆: 輪廻タヲ ・ AIを活用した音楽・イラスト・映像作品を制作するコンテンツクリエイター

Midjourney「Thinking Mode」使用感レビュー

2026年10月8日、Midjourneyが新機能「Thinking Mode」のテストを開始しました。

名前だけを見ると、通常生成よりもじっくり考えて、高品質な画像を作るモードのように聞こえます。
ところが、実際に使ってみると少し印象が違いました。

文字生成は明らかに安定する。
プロンプトにも忠実になる。
一方で、Midjourney特有の暴れが減り、生成結果がおとなしくなることもある。

結論から言えば、Thinking Modeは通常生成の上位互換ではありません。
偶然性を楽しむ通常生成と、狙った結果へ寄せるThinking Mode。
役割の違う機能として考えた方がよさそうです。

この記事で伝えたいこと
・Thinking Modeは、文字生成とプロンプトへの忠実度を高めやすい
・正確になる一方で、通常生成の予想外の面白さが弱まる場合もある
・通常生成で発想を広げ、Thinking Modeで完成へ寄せる使い分けが向いている

Midjourney「Thinking Mode」とは?

Midjourneyの公式発表によると、Thinking ModeはAlpha版Webサイトでテストされている機能です。
V8.2の通常生成やEditで作った画像を開き、画面右下の「Rerun (Thinking)」から利用できます。

通常生成が、プロンプトを受け取って画像を作る工程だとします。
Thinking Modeでは、Midjourneyが生成画像とプロンプトを見比べ、指示を外した部分を探してから再生成します。

公式のAlpha Changelogでは、間違ったオブジェクト、配置、人体構造、文字などを確認すると説明されています。
また、公式がテストで改善を確認しているのは、主に次の3点です。

  • Prompt Accuracy:プロンプトへの忠実度
  • Typography:文字生成
  • Coherence:画像全体の整合性

単純に解像感や美しさを上げる機能というより、指示どおりになっているかを確認して、もう一度作る機能と捉える方が近そうです。
現時点では初期テスト版であり、今後の仕様が変わる可能性があります。

実際に試して分かった文字生成の強さ

今回、Thinking Modeを実際に使い、通常生成と比較してみました。
まず分かりやすかったのが、文字生成です。

通常生成では、指定した文字列の一部が崩れたり、別の文字に置き換わったりするケースがありました。
Thinking Modeでは、その安定性が明らかに増したと感じます。

Midjourneyが公式にTypographyの改善を挙げているだけあって、ここは効果を実感しやすい部分です。
ポスター、ジャケット、グラフィックデザインなど、画像の中に正確な文字を入れたい用途では期待できそうです。

正確になるほど、画像はおとなしくなる

一方で面白かったのが、生成全体の印象です。
Thinking Modeを使うと、確かにプロンプトには忠実になります。

構図が整う。
指定した内容に近づく。
破綻も減る。

その代わりに、少しおとなしい。
そんな印象も受けました。

Midjourneyを使っていると、頼んでいないのに「なぜ、こうなった?」と思う画像が出てくることがあります。
しかし、その予想外の結果が妙にかっこよかったり、こちらが想像していなかった構図を見せてくれたりする。
生成AIでは、この制御不能な部分が作品の面白さにつながることがあります。

Thinking Modeは、その暴れを少し整理する方向の機能に感じました。

生成AIは、不完全だから面白いこともある

通常のソフトウェアなら、バグは少ない方がいい。
ボタンを押したら、毎回同じ結果が返ってくる方が道具としては優秀です。

でも、生成AIは少し違います。
完全に予測可能な結果しか出なくなれば便利ですが、自分では思いつかなかったものが出てくる魅力は弱くなるかもしれません。

今回Thinking Modeを触っていて感じたのは、まさにそこでした。
精度が上がることと、作品として面白くなることは、必ずしも同じではありません。

指示への忠実度を優先するなら、Thinking Modeは強い。
何が出るか分からないところも含めて楽しむなら、通常生成が面白い場面もある。

どちらが優れているというより、目的が違います。

Thinking Modeは「生成」より「調整」に向いている

現時点で一番しっくりきたのは、最初からThinking Modeだけで作品を作るのではなく、良い生成結果を詰めていく段階で使う方法です。

まず通常生成で、少し暴れた画像を出す。
その中から、面白い方向を見つける。
そこから文字、構図、細部をプロンプトへ寄せていく。

私が使いやすいと感じた流れ
・通常生成でアイデアを広げる
・面白い方向を選ぶ
・Thinking Modeで狙った結果へ寄せる
・必要に応じてEditで細部を仕上げる

発想を広げるための通常生成。
狙った場所へ寄せるためのThinking Mode。

通常生成とThinking Modeの違い。通常生成は予測不能な創造性、Thinking Modeは整合性と調整を重視

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部分編集にThinkingが組み込まれたら、さらに強そう

現在も、V8.2のEditで作った画像をThinking Modeで再実行できます。
ただし、Thinking Modeは画像全体を再生成するため、問題点が直った代わりに、気に入っていた部分まで変わる可能性があります。

例えば、画像はほぼ完成しているのに、文字だけが違う。
手の形だけがおかしい。
指定したオブジェクトだけを正確に変更したい。

こうした部分編集の工程に、AI自身がプロンプトとの整合性を確認する仕組みが組み込まれたら、かなり強いはずです。
文字だけ直す。
手だけ直す。
選んだ部分だけ、より正確に変更する。

これは現時点の仕様ではなく、今回使ってみて感じた今後への期待です。
Thinking Modeは、生成能力そのものよりも、調整能力を強くする方向に大きな可能性があるように思います。

「AIが考える」より「AIが自分の仕事を確認する」

Thinking Modeという名前からは、人間のように熟考して画像を作っているようにも聞こえます。
しかし、Midjourneyは内部処理の詳細を公開していません。
そのため、Midjourneyが本当に人間のように思考している、とまでは言えません。

少なくともユーザー目線では、AIが自分で作った画像を、もう一度確認する工程が増えたと捉えるのが分かりやすいと思います。

これまでAIが指示を無視した場合、人間側がプロンプトを書き換えて再生成していました。
Thinking Modeでは、最初の指示と生成画像をもう一度見比べる工程を、AI側へ戻せます。

ここはかなり面白い変化です。

まとめ:Thinking Modeは、完成へ近づけるための機能

Thinking Modeを試して感じたのは、Thinkingの方がすごい、という単純な話ではないことです。

文字生成は明らかに安定しました。
プロンプトへの忠実度も高くなる。
一方で、通常生成が持つ予想外の面白さは少し減る。

だからこそ、最初の生成からすべてThinking Modeへ置き換える必要はなさそうです。

通常生成でアイデアを広げる。
良い方向を見つける。
Thinking Modeで狙った結果へ寄せる。
さらにEditで仕上げる。

生成AIは、不完全だから面白い。
でも、制作の終盤では不完全さが邪魔になる。

Thinking Modeは、その境界を埋める機能なのかもしれません。
現時点ではまだAlpha版です。
単純な高品質モードではなく、Midjourneyを作品制作の最後まで使える道具にする機能として、今後の進化に期待しています。

輪廻タヲ

輪廻タヲ / Rinne Tao

AIを制作に活用するコンテンツクリエイター。音楽、イラスト、映像作品を中心に発信しています。

最新作品やAIに関する考察はXで発信しています。

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