2026.09.11
SUNO V6 徹底解説 / AIに人間が試される時代へ
執筆: 輪廻タヲ ・ AIを活用した音楽・イラスト・映像作品を制作するコンテンツクリエイター

Suno v6を使ってみて、私は非常に前向きなアップデートだと感じました。
ただ、v4.5がなくなることには、最初はネガティブな気持ちもありました。
今回の変化を一言でいうなら、AIが進化した分、人間の作りたいものが問われるようになったと感じています。
音や操作の変化を見ながら、その理由を説明していきます。
今のSunoをどう捉えるとしっくりくるか。
優秀なアレンジャーを雇った、と考えるのが近いと思います。
やりたいことを伝えると、それを音楽にするのを助けてくれる。
その一方で、何を作りたいかまで全部任せても、自分好みの曲になるとは限りません。
今回は、音の変化、v6とwildの使い分け、設定やCustom Modelの使用感を交えながら、そう感じた理由を書いていきます。
以下の使用感は、公開直後に私が試した範囲でのものです。
目次
音は自然に。v5.5の後継としての進化
Suno v6は、2026年9月9日に発表された新しい世代のモデルです。
通常のv6、v6-wild、v6-miniの3種類があります。
モデル選択メニュー。通常v6・wild・miniを切り替えられます。
| モデル | 公式が説明する特徴 | 利用できるプラン |
|---|---|---|
| v6 | 精度や安定性を重視 | Pro・Premier |
| v6-wild | 予測しにくい展開や幅広い変化を重視 | Pro・Premier |
| v6-mini | 軽量で高速 | 無料を含む全プラン |
私が使った印象では、全体的に音質が向上していて、v5.5の後継と感じる内容でした。
これまでのSunoでよく感じた、歌声を細かく切って繰り返すボーカルスタッターの多用も減り、非常に自然な音になったと感じます。
ワーナーとの提携で、生成される音楽にどんな影響があるのかは気になっていました。
ただ、今のところ生成内容に悪い印象はありません。
公式発表では、Warner Music Group、BMG、Believeなどの音楽業界のパートナーとともに開発したモデルと説明されています。
一方で、v4.5のような音は確かに出なくなりました。
そこには、一つの時代の区切りを感じます。
v4.5にあった、偶然の面白さ
v4.5の魅力は、良くも悪くもガチャ的だったことだと思います。
思いもよらない音が出てきて、作った本人までびっくりすることがありました。
コントロールできない、と言われればそのとおりです。
音質にムラがあり、プロンプトの言うことを聞かない部分も多く、緻密な制作には難しさがありました。
それでも、たくさん生成する中で、誰でも驚くような音に出会えることがあった。
自分の想像の外から何かが出てくること自体が、魅力だったんです。
私はこれまで、v4.5で実験的な音楽を作り、その音源をCoverでv5.5などに渡して仕上げる、という流れを使っていました。
発想を探す工程と、音を整える工程で、モデルを使い分けていたわけです。
v4.5がなくなったことに、気の利いた慰めの言葉はありません。
良い音が出る反面、生成される音の傾向には、かなり偏りも感じていました。
権利をめぐる懸念もあった中で、いつかこうした区切りが来るのは、致し方ないと思います。
wildは、アイデアというより選択肢
では、v6-wildがv4.5の役割を引き継いだのか。
私の感覚では、そこは違います。
通常のv6が丁寧な仕上げだとすると、wildはメロディーやアレンジの振れ幅を大きくするものです。
メロディーを考えていて、もっと幅のある候補が欲しい。
アレンジが煮詰まったので、一度大きく変えてみたい。
そういう場面で使えます。
私にとって、wildはアイデアそのものではなく、選択肢を出すものです。
アレンジは、あくまで既存のパターンを平均化して組み合わせたものという印象があり、wildはそのバリエーションを広げているように感じます。
独創的な音が突然飛び出す装置としてのv4.5とは、別のものです。
wildで候補を広げ、気に入った音源をCoverで通常のv6に渡して仕上げる。
あるいは、作業が行き詰まったときにwildへ戻す。
そうした使い方は考えられますが、音の質感はあくまでv6です。
現時点では、私がv4.5に求めていた奇抜な音を出す役割は、失われたように感じています。
ただ、方法次第で変わる可能性もあり、ここはまだ検証の余地が残っています。
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@TaoRInne をフォローする指示への追従と、Max Mode・Variety
AdvancedのMore Optionsにある設定欄。画像の値は撮影時の表示で、おすすめ設定を示したものではありません。
私はプロンプトを自分で書くことがほとんどないので、文章の書き方がどう変わったかは、詳しく評価できません。
ただ、試した範囲では、キーやBPMの指定にはかなり沿ってくれるように感じました。
曲の雰囲気だけでなく、楽譜に書くような具体的な条件も、以前より制御できる部分が増えている印象です。
これは私の使用感であり、指定が常に正確に反映されると保証するものではありません。
Max Modeは、今の消費量なら常時オンにしたい
Max Modeは、私には単純に生成内容の質が上がる機能と感じられました。
今のクレジット消費なら、常時オンにしておきたいです。
公式も、2分を超える曲、原曲に忠実なCover、曲全体での声やスタイルの一貫性などを重視する用途に挙げています。
追加のクレジットを使う機能なので、実行時の消費表示は確認してください。
Varietyは、アレンジの枠の中で動かす
Varietyは、非常に面白い設定です。
wildがアレンジを大きく振るものだとすれば、Varietyは、そのアレンジの枠の中で小さく振るもの。
私はそんな使い分けで捉えています。
| 欲しい結果 | 私の使い方 |
|---|---|
| 今の方向性で、候補を複数出したい | Varietyを低めにする |
| 今の内容では物足りない | 値を大きくして変化を増やす |
| 方向性を動かしたくない | オフにする |
これがあることで、アイデアを探す段階だけでなく、仕上げの工程でも微調整できます。
なお、公式には、Varietyはスタイルプロンプトを調整して出力に変化を加える機能と説明されています。
自分のスタイルタグをそのまま管理したい場合は、0にするよう案内されています。
使っているとWeirdnessと役割が重なって感じられ、個人的には、Weirdnessはもういらないのでは、と思うところもあります。
ただし、二つが同じ仕組みという意味ではなく、あくまで操作したときの印象です。
公式の案内から始めたい人には、v6の解説動画と、旧モデルからの移行ガイドも用意されています。
Custom Modelにも、独自の味が残っている
古いモデルが使えなくなった一方で、以前作ったCustom Modelは引き続き選べます。
では、その中には旧モデルが残っているのでしょうか。
公式FAQによると、作成済みのCustom Modelも自動的にアップグレードされ、以後はv6で動作します。
過去に生成した曲そのものは変更されません。
実際のモデル一覧にも、作成済みのCustom Modelをv6へ自動更新したという案内が表示されています。
出典:Suno公式「v6 FAQ」Custom Modelの移行について
ただし、この説明だけでは、基盤が通常v6・wild・miniのどれなのか、内部でどう移行したのかまでは明確ではありません。
実際に使ってみると、Custom Model独自の味はしっかり出ていました。
そのうえで、v6になって品質も向上していると思います。
過去の曲を、これからの制作の素材にする
v6は、すでに曲を持っていて、アレンジを磨きたい、リアレンジしたい、という目的には素晴らしいエンジンだと思います。
過去に作った音源を素材にして、新しい作品へ育てる方法も有効です。
旧モデルの提供が終了しても、既存曲はライブラリに残り、それを元にした新しい編集や派生生成はv6系で行えます。
以前のSunoで見つけた面白い音は、今のSunoに渡すきっかけにもなります。
モデルが変わったからといって、過去の制作が無駄になるわけではありません。
生成した曲をさらに編集したい場合は、Suno Studio 2.0の使用感もまとめています。
音源を持ち出す際のルールについては、ダウンロード回数制限の記事もあわせて参照してください。
自分らしさを渡すのは、人間の仕事
少し強く言うなら、v6は、私にとって全部を丸投げできないエンジンになりました。
適当に生成を繰り返せば、いつか自分好みの当たりが出る。
そんな作り方は、以前より難しくなったと感じます。
指示を聞いてくれるようになった分、制作のきっかけとなる何かを、使う側が求められるようになった。
鼻歌でも、演奏のワンフレーズでも、詩でもいいんです。
SimpleモードのAudioメニュー。手持ちの音源を選ぶ、アップロードする、録音する、といった入り方ができます。
下手でも、まず歌ってみる。
音楽のことがわからなくても、わからないなりにイメージを伝えてみる。
やりたいことをできるだけSunoに渡して、曲のイメージを固めていくことが大事になります。
そして、そのイメージを持つためには、既存の音楽を聴くことも大切です。
何に心が動くのか、どんな音が好きなのか。
自分の中にあるものが、制作の出発点になります。
作りたいものの趣旨やコンセプトがまったくないと、どう使えばいいのかわからないかもしれません。
逆に、何かきっかけと音楽のイメージがあれば、そこから膨らませて形にできる。
私は、その点で良いアップデートだと思っています。
Sunoは、あなたが音楽を作ることを助けるツールです。
独創性や自分らしさを曲に込めるのは、私たち人間の仕事。
AIに人間が試される時代へ
今回のアップデートで、私はSunoの考え方の軸が明確になったと感じています。
創作の出発点となるものは、ユーザーが用意する。
それを音楽として形にするために、Sunoが力を貸してくれる。
先人の作品をそのまま自分のものにするのではなく、そこに積み重なってきた経験や知識、技術に学びながら、私たち自身の作品を作る。
私は、Sunoをそういう道具として使っていきたいです。
音楽業界との提携が進むことにも、過去のアーティストへのリスペクトを持ちながら、新しい時代の道具を公に使っていくための前向きな意味を感じます。
もちろん、提携したという事実だけで、あらゆる生成物の権利上の問題がなくなるという意味ではありません。
ツールのレベルが高くなった分だけ、人間に求められるクリエイティブな感性も高くなる。
優秀なアレンジャーが待っていても、自分が作りたい音楽まで持ってきてくれるわけではない。
これからは、AIに私たちが試される競争が始まるのだと思います。
輪廻タヲ / Rinne Tao
AIを制作に活用するコンテンツクリエイター。音楽、イラスト、映像作品を中心に発信しています。
最新作品やAIに関する考察はXで発信しています。
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